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基本方針

(1)「高度で先端的な基礎研究による食料科学領域学術拠点の形成」
(2)「産学官金の連携による地域振興」
(3)「北日本農林水産物の成長戦略と国際化」

農林水産物高付加価値化を通じた地域経済の活性化と健康促進
水産資源の保全と活用

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農林水産物高付加価値化を通じた
地域経済の活性化と健康促進

 青森県は「過疎化」と「短命」の二つの問題に直面している。前者は、少子高齢化を伴う人口減少の急速な進展に由来し、労働人口の著しい減少による地域経済の疲弊をもたらしている。とくに企業活動の衰退が顕著である。後者は、食習慣や過度の飲酒や高喫煙率に由来すると言われており、平成22年の年調整死亡率は男女ともに全国1位である。地域の方々は、これらの問題の解決を弘前大学に求めている。
 青森県の食料自給率は100%を上回り、県内食品企業のほとんど(86%)が県産品を使用、または今後使用したいとしている。つまり、農林水産業をベースとした地域活性化を導く潜在的な力を持つ。弘前大学が農林水産資源の付加価値化を目指した研究を率先して行い、得られた成果を新たな産業創出につなげられれば、新たな雇用が生み出され過疎化に歯止めをかけることができると期待される。
 農林水産資源の付加価値化に最も有効なのが、健康促進効果をもつ食材または食品の開発である。研究成果の積極的なアピールを通して、地域の方々の食生活と健康に対する関心を高めることが、短命県からの脱却につながる。弘前大学の設備や人材を活用しつつ、地域との連携をはかり、先端研究を取り入れながら科学的根拠に基づく情報発信をしていく組織として、大学の附置研究所という形は理想的である。

水産資源の保全と活用

 青森県は三方を海に囲まれ、東西に太平洋と日本海、北部に津軽海峡、中央に陸奥湾という大きな内海を抱えており、水産資源が多様かつ豊富である。また、青森県では、平成21年に未来につながる「水」と「土」と「人」の3つの基盤づくりを進めるため、「攻めの農林水産業」の推進基本方針を策定し、その中で「安全・安心で優れた青森産品づくり」をあげている。一方、国の「成長戦略」における「攻めの農林水産業」では、農林水産物・食品の輸出額を2020年までに1兆円規模への拡大(このうち水産物の輸出額は、3,500億円)を目指すため、「農林水産業・地域の活力創造本部」を設置している。
 このような背景の中、青森県沿岸各地の生物多様性の保全はもとより、低・未利用資源(特産海洋生物)の発掘なども併せて取り組むことが課題となっている。具体的には、太平洋岸の沿岸漁業、陸奥湾のホタテやナマコの養殖ならびに特産海洋生物の持続的生産と安全・安心を推進するため、海洋生物の遺伝育種、種苗生産および増養殖技術に関する研究開発の促進が必要である。また、青森県における昔ながらの水産資源の食文化を見つめ直し、郷土料理等の食経験に基づく健康効果の探索や機能性成分の解析を実施するため、海洋生物の網羅的解析(ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、フェノミクスといったオミックス)情報と組み合わせることにより、水産資源の健康効果等のしくみの解明ならびに高付加価値化・商品化を計る取り組みが重要である。
 青森県にとって、上記の研究活動を通じた、水産資源の利活用による地域振興と新産業創成が緊急の重要課題であり、この研究分野での弘前大学の貢献に大きな期待が寄せられている。
 さらに、食料科学研究所は、農林水産業分野において、北東北地域と道南地域との連携強化を促し、「北日本におけるグローバル食の成長戦略拠点形成」による地域振興を目指すコーディネーターとしての機能も期待されている。

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